函館市文化・スポーツ振興財団

フィリップ・ユーベア・マリ一・グロード (Philippe Hubert Marie Gourraud)  1927~2012

半世紀を函館で過ごし、函館の夏の風物詩「函館野外劇」を立ち上げ、日仏の文化芸術の架け橋となった、フィリップ・クロード神父

フィリップ・ユーベア・マリ一・グロード

1927年(昭和2年)6月7日、フランス西部ヴァンデー県ロッチェセヴィール村で父・ペトロ、母・ウゼニ・マルタの6人兄弟の次男として生まれる。母は敬虔なカトリックの信徒で、生活の基盤にあったのが、クリスチャンの信仰だった。

幼い頃から、いたずら好きでやんちゃな子どもだった。小学生になっても、やんちゃぶりは変わらず、見かねた両親は4年生になるとき、フランス大西洋岸の古都ナント市内のカトリック男子校サンスタヌ校へ転校させる。将来は建築家か、医師になろうと考えていたが、大学に入学する直前になって、突然「神父になりたい」とパリ外国宣教会大神学校に入学し、1953年卒業する。

当時、北海道で急増したカトリック求道者と信徒の宣教のため、札幌の司教から「函館地区を受け持ってくれる神父をお願いしたい」と、パリ外国立教会の本部に依頼があり、1954年(昭和29年)6月来日することになる。東京で日本語を学んだ後、1956年、八雲町のカトリック八雲教会主任司祭に就任。

1960年、カトリック元町教会へ活動の場を移す。翌年の4月から第27代の主任司祭に就任する。

1977年、市役所厚生部長の「今後は老人施設が必要だ」の一言が琴線に触れ、「特別養護老人ホーム旭ヶ岡の家」を開設し、施設長に就任する。

1983年、函館日仏協会の設立に発起人として参画・理事に就任。

1988年、故郷の「ル・ピディフ野外劇」を五稜郭のロケーションを活かしてやってみたいと「市民創作『函館野外劇』の会」を組織し、実行委員長に就任。以後、毎年公演を行い、今年28回目を迎える。

2003年、社会福祉法人函館カリタスの園理事長に就任。

1990年、日本とフランスとの友好親善への功績でフランス共和国レジョン・ド・ヌール勲章シュバリエ章。1996年、地域における文化活動および福祉活動の貢献が認められ、「北海道新聞社社会文化賞」。
1998年、日仏交流と友好親善への功績でフランス共和国功労勲章オフィシエ章。次いで「函館市文化賞」。2005年、フランス共和国レジョン・ド・ヌール勲章オフィシエ章等を受賞する。2008年、叙勲(瑞宝双光章)を授かる。

2012年(平成24年)12月25日、クリスマスの日、天に召された。
駆けつけた面会者に「さよなら」と手を振り、逝つたという。85歳。

函館ゆかりの人物伝